ヨガレッスンのはじめや終わりに「OM(オーム)」とマントラを唱えることがあります。ヨガは宗教ではありませんが、独特な雰囲気に最初はびっくりするかもしれません。
レッスンに慣れている人でもオームを深く知ると、マントラが与える効果をより実感し、音の響きが及ぼす影響を感じるはず。この記事では、オームの意味や効果について紹介します。
ヨガのマントラ「OM(オーム)」とは
ヨガの発祥の地であるインドでは”聖なる音”として神聖視されているオーム。
宇宙のはじまりの音と呼ばれており、真言密教の「唵(オン)」やキリスト教の「アーメン」、仏教の「阿吽(あうん)」なども同じ音だと言われています。
宇宙のはじまりの音と言われるのはなぜでしょうか?
もともと”無”の状態に揺らぎが生まれ、ビッグバンという大爆発で宇宙が誕生したとされていますが、その爆発の時に響いていた音がオームだというのです。そのことからオームが宇宙のはじまりの音と言われています。
オームに込められている意味
オームを正しく発音するとA・U・Mと3つの音で構成されており、Aは最初の音として創造を、Uは中間の音として維持を、Mは最後の音として破壊を表すなど多くの意味が込められています。
A(ア) | U(ウ) | M(ン、ム) | |
状態 | 創造 | 維持 | 破壊 |
神様 | ブラフマー | ヴィシュヌ | シヴァ |
時間 | 過去 | 現在 | 未来 |
意識 | 覚醒 | 夢 | 睡眠 |
三神一体(トリムルティ)と呼ばれるヒンドゥー教の教理があります。
三神一体(トリムルティ: trimurti)は、ブラフマーとヴィシュヌとシヴァは同一であり、これらの神は力関係の上では同等であり、単一の神聖な存在から顕現する機能を異にする3つの様相に過ぎないというヒンドゥー教の理論である
weblio辞書:トリムルティ
つまり、ブラフマーとヴィシュヌとシヴァはひとつの存在であって、その時々に表れる顔が異なるということ。
自分に置き換えるとわかりやすいかもしれません。
僕自身も家族では”夫”という立場ですが、親から見れば”子ども”に見られるし、子どもからは”父親”という立場になります。さらに会社で見せる顔もま異なることから、ひとりの存在が多くの役割を担っていると解釈すればいいのではないでしょうか。
オームには別々の意味を持つ3つの音節から成り立ち、宇宙のすべての力を内包すると言われます。
AUMの音があるのに、OMと書くのはナゼ?
AUMの3つの音から成り立ちますが、サンスクリットでは「A」と「U」が隣り合うと、「O」になる発声学の法則に依り「OM」と表記されます。
オームを唱える理由とは
オームを唱える理由は様々な意見があります。
- 日常からヨガの世界へ導くため
- 心を浄化しエネルギーが満ち溢れるように
- カラダや心を落ち着かせ、深い意識に誘導するため
- 先人に感謝の気持ちを捧げるため
- 神様や世界と心をひとつにするため
人それぞれに意見が異なり、おそらく正解はひとつではないのでしょう。
僕としては、オームの特別な響きによって意識がクリアになり、ヨガの時間に没入できますし、レッスンの人数が多い時には他の人や空間と一体感を感じることができます。
オームは一緒に唱えた方がいい?
最初は唱えることが恥ずかしく、声に出すのが抵抗あるかもしれません。
声を出さず黙って聞いているだけでも問題ありません。
他の人が唱えている音を聞いていても、オームの響きがカラダや心にきっと良い影響を及ぼしてくれるはず。怪しく参加したくないならともかく、何事もチャレンジした方が得られるものも多いので、少しずつ勇気を出して声に出してみるのがおすすめです。
オームを唱える効果
オームを唱える効果にはカラダをリラックスさせ、心をストレスから解消し、心身ともに良い影響を及ぼします。
自律神経系にポジティブな影響を与える研究データがあり、30分間大声で唱えるとシータ波が大幅に増加し、深いリラクゼーションを示すことがわかりました。また夢を見ない熟睡状態に表れるデルタ波にも変化が認められています。
オームの周波数は136.1Hzと言われています。
136.1Hzは地球が太陽をまわる周期の1年間+1/4日を、可聴領域へ32オクターブ上昇させた周波数と一致するようです。
オームを唱えると、深い瞑想状態に入ることができると言われますが、深いリラクゼーション、意識をクリアにし、地球とのつながりを深めるなど様々な効果が見込めます。
オームの唱え方
オームを唱える際には、A・U・Mの3つの音と無音により構成されており、無音の状態は”トゥリヤ”と呼ばれる無限の意識を表しています。
① 落ち着いた空間で楽な姿勢で座り、目を閉じます。
② 一度大きく息を吸って、お腹の底から息を吐き出しましょう。
③ 次の吐く息に合わせて、喉の奥から「オーーーーー(AU)」と唱えます。
④ 唇を閉じて「ムーーーーー(M)」と唇を振動させながら、オー(AU)より最低限3倍伸ばすように唱え続けます。
⑤ そしてオームの詠唱が終わったら、黙祷するように無音の時間を味わいます。
⑥ 頃合いを見ながら、目を開けて日常に戻ります。
まとめ
宇宙のはじまりの音と呼ばれるオーム。
インドでは神聖視されているとはいえ、ここ日本では馴染みがなく、闇雲に信じようとしなくてもかまいません。けれど、日本にも”言霊”という言葉があるように、言葉には力が宿ります。
- 創造・維持・破壊など3つの音節から成り立ち、宇宙のすべての力を内包している
- 心身に深いリラクゼーションを与えること
- 地球の一年と同じ周波数で、地球とのつながりを強めてくれる
様々な意味が込められているオームから力を受け取り、目に見えない”なにか”を感じ取れたら、それは素敵なことだと思います。ぜひオームの音に触れてみてください。